生活習慣病は日本の深刻な社会問題の一つとなっています。
生活習慣病とは
「不規則な食生活」「運動不足」「ストレス」「喫煙」「飲酒」などの生活習慣が原因で発症する病気を「生活習慣病」と言います。高血圧、糖尿病、高脂血症、肥満、脳卒中、心筋梗塞などが挙げられます。
厚生労働省の調査結果では、日本国民の約3人に1人が生活習慣病で年々増加しています。高齢者だけでなく若年層でも問題となっています。
以前は「成人病」と言われていました。ところが、成人だけでなく、若い人も、このような病気が発生するため、「生活習慣病」というようになりました。 若年層でも肥満や高血圧、糖尿病などの生活習慣病が年々増加傾向にあります。
食生活の変化
年々増加する生活習慣病の要因の一つに「不規則な食生活」が挙げられています。しかしながら、「食生活には気を付けている」という方も多いのではないでしょうか。確かに、規則正しい食生活を送っていらっしゃる方がほとんどだと思います。実は、食生活の変化も一つの要因ではないかと言われています。
食生活の何が変わったのか
食生活の変化とは、和食から洋食に変わったということもあると思います。それよりも、もっと大きな変化は「加工食品」の存在です。
昔は、自炊は言うに及ばず、しょうゆ、みそ、みりんなどの調味料も自宅で作っていました。そのため、どんな材料をどのくらい使っているかはすべてわかりました。
現代の食生活は、加工食品に頼っています。調味料を自宅で作っている人は少なく、簡単で便利な加工食品を活用し、また外食をすることも多々あると思います。私たちにとって加工食品は必要不可欠なものに変わりつつあります。
しかし便利な反面、外食や加工食品は使用している材料や添加物など、全て把握することは不可能に近いのです。自分が何を食べているのかわからないのが現代の日本です。
中身がわからずに食べている加工食品やインスタント食品には、厄介なことに、塩分や糖分、油分が多く含まれています。 ここでは、「塩」を例にどのくらい塩分を摂っているか、食品表示を見ながら確認してみます。
塩分の摂取量
カップラーメンに含まれる塩分量
カップラーメン(比較的小さめで、しょうゆベース)の成分表示表です。
栄養成分表示の「食塩相当量」で確認します。「めん、かやく、2.4g」、「スープ2.5g」、全部食べると「4.9g」の塩分を摂取します。1日の推奨塩分摂取量は、成人男性は8.0g未満、女性は7.0g未満です。このカップ麺1杯で1日の半分以上の塩分を摂取することになります。
世界基準は1日5gです。日本人は塩分の摂りすぎと言われています。 78g程度(小さめ)のカップヌードルで、これだけの塩分が入っているのだから、もっと大きな容器のカップ麺はどれだけ入っているのか…???
気になる方は成分表示を確認してみてください。
だしの素に含まれる塩分量
自炊をしている方も多いと思います。だし汁はどうしていますか?
昔は、かつお節や昆布、イリコなどでだしを取るのが当たり前でした。しかし、現代では、顆粒和風だしや、白だしなど便利で、簡単においしく作れるだしの素を使っている人が増えています。だしをとるときに塩は入れません。味付けの際、塩、しょうゆ、みそなどの調味料を加えます。でも、だしの素にはすでに塩が入っています。だしの素に含まれる塩分量を確認してみます。
顆粒だしの素の成分表示です
原材料名に「食塩」と表示されていますので、食塩が含まれていることがわかります。また栄養成分に味噌汁1杯分(1g)当たりの食塩相当量を見ると「0.4g」と表記されています。みそ汁には、「みそ」の塩分量(約1.2g)に、だしの素の塩分量(0.4g)が加算される計算になります。
かつお節や昆布、煮干しなどでだしをとると、顆粒だしに含まれる塩分量をカットすることができます。また、濃い目にだしを効かせることで、みその量を減らすことができ減塩対策になります。
「減塩」食品を使った場合
塩分を控えめにするために「減塩調味料」、「減塩食品」を活用している方が多いです。消費者のニーズに応えて、スーパーでも減塩食品は数多く並んでいます。 こいくちしょうゆと減塩しょうゆを見比べてみましょう。
こいくちしょうゆと減塩しょうゆの栄養成分表
栄養成分はどちらも15mlあたりの数値です。確かに減塩しょうゆの食塩相当量は半分です。どのようにして塩分を控えめにしたのでしょうか?
また、栄養成分表のエネルギーや炭水化物などの数値も増え、カリウムやリンも含まれていることも気になります。表示品表示の原材料と添加物を比較してみます。
原材料と添加物の比較
比較してみると原材料は同じですが、減塩しょうゆは添加物が増えています(「/」から後ろが添加物です。)。使用する塩を減らしたことで、しょうゆの味が足りなくなったり、塩が果たす殺菌の役割を補足するため添加物を使用したと考えられます。
まとめ
ここでは「塩分」を例にあげましたが、「糖分」「油分」も同じことが言えます。
「カロリーオフ」や「ノンオイル」などの商品がたくさんあります。しかし、それには、添加物や添加物に似た副材料が多数使われています。
私たちの食生活にとって、調味料を始めとする加工食品は手軽で便利です。その半面、自分が何を食べているのか、わからずにいるのが現状です。
健康な体を維持するには、バランスの取れた食生活は非常に大切です。そのために、まず自分が食べている物を知ることが大事です。
日本は、諸外国に比べて、抜け道だらけと言っても過言ではないぐらい食品表示の基準が甘いです。しかし、それでも食品表示はしっかりチェックして、商品を選ぶ基準にすることが大事だと思います。
現代社会で加工食品に頼らない食生活をするのは非常に困難です。また、過敏になり過ぎると逆にストレスになる場合も多々あります。加工食品の中身を知り、上手に活用していくことが、健康的な生活につながります。
加工食品の中身を知るには、食品表示のチェックは必須です⇒見方はこちらをご覧ください。